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工務店の粗利はどのくらい?平均の目安・1棟の利益と改善策

「工務店の粗利はどのくらいが普通なのか」「受注は増えているのに、なぜ利益が残らないのか」と悩んでいませんか。木造住宅を扱う工務店が比較する数字として、2024年度調査の木造建築工事業では、完成工事高総利益率の平均が27.2%、中央値が24.0%となっています。

ただし、この数字をそのまま自社の適正値にするのではなく、工事内容や原価の範囲をそろえて考えることが重要です。この記事では、平均の読み方から粗利の計算方法、必要な利益の逆算、見積もりと現場管理の改善まで、具体例を使って解説します。

工務店の粗利はどのくらい?平均と目安の考え方

粗利の目安を調べる際は、まず自社が比較したい相手を明確にしましょう。木造新築が中心の会社と、リフォーム中心の会社を同じ条件として扱うと、目標設定を誤るおそれがあります。

ここでは、木造建築工事業の数値を出発点に、平均をどう経営判断へつなげるかを整理します。「平均より高ければ安心」と考えるのではなく、自社の工事内容と経費負担に照らして、改善すべき点を見つけるために使ってください。

木造建築工事業では平均27.2%、中央値24.0%

2024年度調査の木造建築工事業では、361社の完成工事高総利益率の平均が27.2%、中央値が24.0%です。黒字かつ自己資本がプラスの企業に絞った平均は29.1%で、木造住宅を扱う工務店が比較する際の参考になります。

ただし、調査対象は融資先のうち従業者50人未満の法人企業であり、全国すべての工務店を集計した数字ではありません。また、平均値は各社の指標を単純平均したもので、業界全体の粗利総額を売上総額で割った値とは異なります。

この結果から、本記事では木造建築の比較を始める目線として、まず25%前後を置く考え方を提案します。ただし、25%を最低ライン、30%を必達目標とするような一律の基準にはしません。

自社の直近一年の実績と比べ、差がある場合は値付け、原価計上、工事構成のどこに理由があるかを確認しましょう。平均に近づけること自体ではなく、必要な経費を支払った後に利益を残せるかを判断の中心に据えてください。

新築・リフォーム・下請けを同じ基準で比べない

同じ2024年度調査でも、建築リフォーム工事業の完成工事高総利益率は平均39.6%、中央値34.8%で、木造建築工事業とは異なります。この違いがあるため、「工務店なら粗利率は一律に何%」と決めつけるのは適切ではありません。

自社の分析では、新築注文住宅、改修工事、部分的な修繕を分け、それぞれの売上と粗利額を集計してみましょう。元請けと下請けの両方を扱っているなら、契約形態も分けて確認することをおすすめします。

例えば、粗利率35%の小規模改修と、粗利率25%の新築工事では、率だけを見て前者を優先する必要はありません。仮に改修の売上が200万円なら粗利は70万円ですが、新築の売上が3,000万円なら粗利は750万円となります。

さらに、各案件に必要な現地調査、打ち合わせ、移動、施工管理の時間も記録してください。粗利率と粗利額に担当者の稼働時間を組み合わせて比較すれば、自社が限られた人員で取り組むべき仕事を検討しやすくなります。

工務店の粗利の計算方法と間違えやすいポイント

平均と比較する前に、自社で使う「粗利」の計算範囲を統一しておきましょう。営業担当者の見積もりと経理の集計で対象費用が違えば、同じ案件でも数字が合わなくなります。

この記事の計算例では、売上と原価をすべて税抜きで統一します。また、請負工事そのものの収益性を確認する前提で、土地売買などの別事業は混ぜずに考えます。

まずは基本式を確認し、そのうえで原価に加算する割合と、売上に対する粗利率を区別してください。

粗利額・粗利率・営業利益の違いを押さえる

粗利額は売上高から売上原価を差し引いた金額で、粗利率は粗利額を売上高で割り、100を掛けて求めます。粗利から販売費及び一般管理費を引いたものが営業利益であり、粗利がそのまま会社の最終的な利益になるわけではありません。

例えば、税抜きの請負金額が3,000万円、工事原価が2,250万円なら、粗利は750万円です。粗利率は750万円÷3,000万円×100で25%となり、この750万円から会社運営に必要な販管費を賄うことになります。

工事原価には材料費や外注費だけでなく、工事に従事する直接雇用の作業員の労務費や、その工事に対応する経費も含まれます。そのため、材料と外注への支払いだけを引いた数字を、会計上の粗利と同じものとして扱わないようにしましょう。

社内では、見積もり用の原価項目と決算上の科目の対応を整理し、現場担当者にも共有してください。現場と本社を兼務する人の費用など判断が難しい項目は、顧問税理士等と配賦方法を確認し、案件ごとに都合よく変えない運用が大切です。

原価に25%を上乗せしても粗利率25%にはならない

見積もりで注意したいのが、「原価への上乗せ率」と「売上に対する粗利率」の混同です。原価2,400万円に25%を上乗せすると請負金額は3,000万円ですが、粗利は600万円なので、粗利率は20%にとどまります。

粗利率25%を確保したい場合は、原価2,400万円を0.75で割り、請負金額を3,200万円と計算します。売価から原価を引いた800万円が粗利となり、800万円÷3,200万円で25%になることを確認できます。

この逆算を式にすると、必要な請負金額は「予定原価÷(1-目標粗利率)」です。同じ原価2,400万円でも、目標を30%に置くなら、必要な請負金額は約3,428.6万円になります。

見積もり用の表計算シートでは、上乗せ率と粗利率を別の欄にし、入力した売価から粗利率を自動計算する設計にしましょう。端数調整や値引きをした後も再計算し、当初の目標を維持できているかを確認してください。

営業会議でも「利益を25%乗せた」という表現は避け、売価、原価、粗利額、粗利率をセットで示します。数字の意味をそろえるだけでも、見積もり段階の認識違いを防ぐための土台になります。

適正な粗利率は販管費と必要利益から逆算する

自社の目標を決めるときは、平均値だけでなく、年間に必要な粗利額を先に計算してみましょう。売上目標から期待する粗利を考える方法に加えて、会社を維持する経費と残したい利益から逆算します。

ここでは年商3億円の会社と、請負金額3,000万円の住宅を仮定して考えます。実際に使う際は、自社の販管費予算、無理なく完成できる棟数、案件ごとの原価見込みに置き換え、楽観的な受注計画だけに頼らないようにしてください。

年商3億円なら粗利率20%・25%・30%で何が変わるか

年間売上高3億円、年間販管費6,000万円の会社を想定すると、粗利率20%では粗利額も6,000万円となります。この条件では粗利と販管費が同額なので、営業利益はゼロです。

同じ売上と販管費で粗利率25%なら、粗利額は7,500万円、営業利益は1,500万円になります。粗利率30%なら粗利額は9,000万円、営業利益は3,000万円となり、数ポイントの違いでも残る金額は大きく変わります。

目標営業利益を1,500万円とするなら、必要粗利額は販管費6,000万円との合計で7,500万円です。これを予定売上3億円で割ると、目標粗利率25%を導けます。

ただし、この計算は予算上の売上と販管費を前提とした簡易的な計画で、受注減や採用による経費増までは織り込んでいません。売上が2億5,000万円に下がる一方、必要粗利額を7,500万円に維持するなら、必要な粗利率は30%になります。

目標設定では、標準計画と売上が下振れした計画を並べて確認しましょう。工事原価に含まれる固定的な費用の動きも検討し、この簡易計算だけで厳密な損益分岐点を判断しないことが大切です。

1棟の粗利750万円は値引きと原価超過でどう減るか

請負金額3,000万円、工事原価2,250万円の住宅では、当初の粗利は750万円です。ここで原価を変えずに100万円値引きすると、売上は2,900万円、粗利は650万円、粗利率は約22.4%になります。

売上に対する値引きは約3.3%ですが、粗利額は750万円から650万円へ約13.3%減っています。値引きを検討する際は、売上の何%かではなく、粗利を何%失うかも確認してください。

さらに、追加の施工費などで原価が100万円増えれば、最終的な原価は2,350万円です。値引き後の売上2,900万円に対する粗利は550万円、粗利率は約19.0%まで下がります。

この例では、契約前の値引きと施工中の原価超過が重なり、当初期待した粗利のうち200万円が失われました。年間10棟すべてで同じことが起きると仮定すれば、年間の粗利減少は2,000万円になります。

値引きが必要な場面では、金額だけを下げず、設備や仕上げの変更によって原価も調整できないか検討しましょう。仕様変更後の見積もりを作り直し、顧客の予算と自社の必要粗利の両方を確認したうえで、受注条件を決めることをおすすめします。

工務店の粗利を改善する見積もりと現場管理

粗利改善に取り組むなら、まず直近の完工案件で「予定より減った粗利」がどこで発生したかを調べましょう。値付けに問題があるのか、見積もりから費用が抜けたのか、施工中の変更を請求に反映できなかったのかを分けて考えます。

改善策は、一律の値上げや協力会社への値下げ依頼だけではありません。自社の記録をもとに、見積もりの精度、変更時の確認手順、完工までの原価予測を見直し、利益が減る場面を具体的に減らしていきましょう。

見積もり漏れを防ぎ、追加変更は着手前に確認する

最初に行いたいのは、直近の完工案件について、当初見積もりにない支出を抜き出す作業です。例えば、残土処分、養生、搬入の追加作業、駐車場、仮設設備など、自社で漏れたことのある項目から点検してください。

単に見積書の項目を増やすのではなく、現地調査で誰が何を確認するかまで決めておきましょう。道路の幅や搬入条件など、金額に影響する条件を写真とともに残し、積算担当者が確認できる形にします。

また、仕様が決まっていない設備や仕上げについては、何を前提にした見積もりなのかを明示してください。金額が変わる条件と、再見積もりするタイミングを社内外で共有し、担当者だけが理解している状態を避けます。

追加変更が出たときは、工事内容、追加金額、工期への影響を確認し、原則として着手前に合意する運用を検討しましょう。メールや確認書などで記録を残し、現場への指示と請求処理が別々に進まないように管理します。

自社負担とする対応についても、金額と理由を記録してください。無償対応を一律になくすことより、判断する責任者と上限を決め、顧客対応のためにどれだけの原価を使ったかを把握することから始めましょう。

契約時・施工中・完工時の粗利をつなげて管理する

案件管理では、契約時の予定粗利、施工中の着地予想粗利、完工後の確定粗利を並べて見られる形にしましょう。契約時の数字だけを保存するのではなく、工事が進むにつれて見込みがどう変わったかを残します。

着地予想原価には、支払済みの費用だけでなく、発注済みで未請求の金額と、今後必要になる未発注分も含めてください。例えば、現在までの支払いが1,500万円でも、残り工事に900万円を見込むなら、着地予想原価は2,400万円です。

請負金額3,000万円の案件なら、この時点の予想粗利は600万円、予想粗利率は20%となります。当初の原価予算が2,250万円であれば、150万円の差がどの工種で生じたかを確認します。

管理表には、売上予定額、追加変更額、工種別の予算と発注額、残工事の見込額をまとめると確認しやすくなります。更新担当者と確認日を決め、営業と現場で異なる数字を持たないようにしてください。

完工後は、差額を単価、数量、施工のやり直し、請求できなかった変更などに分けて振り返りましょう。振り返りで見つかった内容を次の見積もりや施工手順へ反映し、原因を記録するだけで終わらせない運用を目指します。

粗利を会社に残すための経営管理と実行手順

案件ごとの粗利を改善したら、会社全体の数字でも効果を確かめましょう。粗利率だけを目標にせず、年間の粗利額、販管費を差し引いた利益、月ごとの資金残高を並べて管理する方法を提案します。

最後に、工事構成と入出金を確認する視点、そして最初の一か月で進める手順を整理します。大がかりな仕組みを一度に作るよりも、手元の見積書と請求書を使い、続けられる単位で数字をそろえることから始めてください。

会社全体では粗利額と入出金予定も確認する

会社全体の粗利率を計算するときは、案件ごとの粗利率を単純に平均せず、粗利額の合計を売上高の合計で割ってください。例えば、売上3,000万円で粗利率20%の工事と、売上300万円で粗利率40%の工事がある場合を考えます。

それぞれの粗利額は600万円と120万円なので、合計売上3,300万円に対する粗利率は約21.8%です。20%と40%を平均した30%ではなく、売上規模を反映した数字で評価する必要があります。

さらに、利益の確認とは別に、案件ごとの入金予定日と協力会社への支払予定日を並べてみましょう。例えば、月初の資金が500万円で、その月の支払いが1,000万円、入金が翌月の1,200万円なら、その月には500万円の資金不足が生じます。

この例では、翌月までの入出金合計がプラスでも、支払日に資金が足りません。月単位の予定表を作り、必要に応じて週単位でも確認し、受注時に決めた入金条件と実際の進捗を照合してください。

受注量を増やす計画では、追加で必要な現場管理の人員や販管費、先に支払う原価も合わせて試算しましょう。粗利率の改善が会社の利益と資金残高にどうつながるかまで追いかけることで、次の投資や採用の判断材料をそろえられます。

まずは直近の完工案件から改善を始める

最初の一週間では、直近で完工した案件を五件程度選び、税抜き売上、当初原価、最終原価、粗利額を一つの表にまとめましょう。案件の規模や内容が違う場合は、新築とリフォームなどの区分も付け、比較する条件を整理します。

次の一週間では、予定粗利と確定粗利の差が大きい案件を中心に、営業、現場、経理で原因を確認してください。担当者を責める場ではなく、見積もり漏れや情報共有の遅れなど、次回から変えられる手順を見つける場にします。

三週目には、繰り返し発生した原因を一つか二つ選び、見積もり様式や追加変更の確認方法を修正しましょう。すべてを同時に変えず、実際に失った粗利額と改善のしやすさから優先順位を付けます。

四週目には、進行中の案件で新しい方法を試し、更新の負担や確認漏れがないかを確かめます。その後は月に一度、年間の粗利目標と案件ごとの着地予想を照合し、必要な見直しを続けてください。

工務店の粗利がどのくらい必要かは、平均だけでは決まりません。同業の数値を比較の入口にしながら、自社の原価、販管費、施工能力から目標を定め、見積もりから完工まで同じ基準で管理することが、利益を残すための第一歩です。

よくある質問

工務店の粗利率が20%だと低すぎますか?

20%という数字だけで低すぎるとは判断せず、自社の販管費と必要利益を当てはめてみてください。例えば年商3億円なら粗利は6,000万円で、販管費が同額なら営業利益はゼロになります。

販管費が4,500万円なら、同じ粗利率でも営業利益は1,500万円です。まずは年間の経費予算と無理なく確保できる売上を置き、必要な粗利額を計算しましょう。

そのうえで、各案件の見積もりに現場の人件費や経費が漏れていないかを確認し、改善の必要性を検討することをおすすめします。

3,000万円の住宅を1棟建てると、工務店はいくら儲かりますか?

税抜き請負金額3,000万円、工事原価2,250万円という仮定なら、1棟の粗利は750万円、粗利率は25%です。ただし、750万円をそのまま会社に残る金額と考えず、その案件が負担する販管費も含めて試算してください。

例えば管理上の計算として販管費を1棟に600万円配分するなら、差額は150万円です。この配分額は会社全体の経費や年間棟数によって設定が変わります。

自社の採算を確認する際は、請負金額だけで推測せず、実際の原価と年間の経費予算を使うことが重要です。

粗利率30%を確保するには、原価に30%を上乗せすればよいですか?

原価への30%の上乗せでは、粗利率30%にはなりません。例えば原価2,100万円に30%を上乗せした売価は2,730万円で、粗利630万円を売価で割ると粗利率は約23.1%です。

粗利率30%にしたい場合は、原価2,100万円を0.7で割り、売価3,000万円と計算します。この場合の粗利は900万円となります。

見積もりでは原価への上乗せ率と売上に対する粗利率の欄を分け、端数調整や値引き後の売価でも再計算して、目標からずれていないか確認してください。

値引き交渉を受けたとき、粗利をどう確認すればよいですか?

まず、値引き後の売上から予定原価を引き、残る粗利額と粗利率を計算してください。売上3,000万円、原価2,250万円の案件を100万円値引きすると、粗利は750万円から650万円へ減り、粗利率は約22.4%になります。

値引き前の粗利に対しては、約13.3%を失う計算です。この金額を社内の必要粗利と比べたうえで、設備や仕上げの変更によって原価も調整できないか検討しましょう。

営業担当者だけで判断せず、承認する責任者と確認基準を決めておくことをおすすめします。

粗利改善は何から始めればよいですか?

まずは直近で完工した五件程度の案件について、契約時の予定粗利と完工後の確定粗利を比べてみましょう。差が大きい案件から、値引き、見積もり漏れ、数量の増加、追加変更などの原因を整理します。

最初から多くの指標を追う必要はなく、売上、予定原価、最終原価、粗利額をそろえることを優先してください。その結果をもとに、繰り返し発生した問題を一つ選び、次の見積もりや現場確認の手順を変えます。

月に一度、改善した手順が運用できているかと、粗利の着地見込みを確認していきましょう。

自社の粗利が適正か判断しにくい場合は、直近の決算書と完工案件の見積書・原価実績を整理し、顧問税理士や建設業の収益管理に詳しい専門家へ相談してみましょう。「原価の範囲」「必要な粗利額」「予定と実績の差」を確認することで、自社に合った改善の優先順位を検討しやすくなります。


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